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ファム・ファタール





TAIJIとYOSHIKIが同居していた頃の話。
終末への不安。





「本?」
TAIJIがそう訊くと、YOSHIKIはやけに分厚い、古い本をTAIJIに見せた。
「そんなの何処にあった?」
「置いてあった」
「は?」
玄関先にあったよ、とYOSHIKIは言って画集の頁をぱらぱらとめくる。複数の画家の作品を収めているらしく、淡い色彩の絵、緻密に描かれた絵、大胆な構図の絵が目に入ってくる。どれも一様に、何処か影を感じる絵だった。

「全っ然わかんねぇ」
そうTAIJIが呟いた通り、有名なものは一つもない。
「そうだね。・・・・高く売れるかな?」
「さぁ」
画集なんて酷く不釣合いなものだった。
同居しているにも関わらず一時期電気を止められる程の生活状況で、しかも今もぎりぎりの生活をしている二人である。金になるなら何でも良い。服もぼろぼろでいい加減買い換えたかった。
ふとTAIJIは顔を上げ、同居人の顔を見やる。
長く波打つ髪に白い肌、稜線は細く顔立ちは整っている。男であるが女のような、もしくは性別など関係ないような、上品な雰囲気が画集とYOSHIKIの間にだけ漂っていた。
まぁ確かに怒らなければいい顔だし、とそのままぼんやりと見つめていたが、

「・・・TAIJI?」
怪訝に思ったせいで、繊細なYOSHIKIの顔が少し歪む。
「あ、いや・・・」
何でもないと言葉を濁してTAIJIは目線を画集に移した。
しかし頭に入ってくる訳でもない。
YOSHIKIもじっくり見る気などないらしくぱらぱらと早い速度でめくっていく。

「女の人が多いね」
「は?」
「だって、ほら」
YOSHIKIが指し示した所から頁をめくっていくと、確かに女性が数多く描かれていた。




パステルの淡い色彩のなか、赤毛の女達がこちらを向いて微笑んでいる-------




不穏に心臓が高鳴った。









「TAIJI?」

YOSHIKIがまた問う。
TAIJIはうろたえたようにしか反応しなかった。その様にYOSHIKIは訳がわからない、とでも言うような顔でTAIJIを見つめている。
TAIJIは違う、と言いたかった。・・・一体何を否定するために?
自分ですら何故なのかわからない。
「具合でも悪いの?」
YOSHIKIが顔を覗き込んでくる。
その顔が絵の女と重なる------

「・・・何でもねぇよ」
力なく微笑みながら、らしくなく振る舞う。視線を何処に定めればいいかわからず画集に目を落とす。

『ファム・ファタール』

絵に目線を合わすことなど無理で、解説を読んでいたらそんな言葉が飛び込んできた。

『運命の女』を表すと------





YOSHIKIが再び頁をめくる。


赤毛の女ではない。しかし人間にも見えない。
女神のような貞淑な顔をしているが、身体はライオン、そして背中に鷲の翼をもつ怪物が、半裸の男の身体に触れている。

TAIJIは更に恐怖にも似た感情を覚えた。

・・・いや、不安だった。



自分さえも絵のなかの男のように襲われるのではと思った。













------YOSHIKIに。



「TAIJI !?」
不意に泰司が立ち上がり、佳樹の手から画集をひったくった。
「・・・売ってくる」
怒るような声音でただそう言い、それをもってそとに飛び出す。


未来が見えた気がした。




一番起きて欲しくないことがYOSHIKIによって引き起こされそうで。






















-------------------誰も破滅など望んでいないのに





























------------------------------
※ファム・ファタール=運命の女、男を破滅へと導く女の事。サロメ等がいい例。

上手く伝わったでしょうか(汗
これからもこんな感じで小説を書いていきます。暖かく見守ってください。


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X JAPAN 小説 | Comment : 1 | Trackback : 0
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Comment

スパイダー

2009/01/30 22:57 ・・・EDIT

  やっぱ文章うまいなぁ・・・・!
だから,読んでても面白いんだなぁ・・・。


 

 

 

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